研究課題/領域番号 |
19590544
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
吉川 麗月 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90319864)
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研究分担者 |
中野 芳郎 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30360267)
玉置 知子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
藤原 由規 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10258155)
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キーワード | 癌幹細胞 / 食道癌 / polycomb群 / hedgehog情報伝達系 / 分化 |
研究概要 |
近年cancer stem cell theoryに注目が集まり、転移・再発などの悪性度を規定する要因としてhedgehog(Hh)情報伝達系を始めとする各種morphogenの関与が示唆されている。私達は昨年度Hh関連遺伝子群の一つであるGli-1に着目して遠隔転移との関連を調べ、術前化学放射線療法(CRT)後の進行食道癌患者において遠隔転移を抑制する分子標的となりえることを明らかにした。本年度はそれに引き続きHh情報伝達系の下流に位置するpolycomb group (PcG) familyのBMI1およびp16^<INK4A>蛋白発現の臨床的意義について検討した。 【方法】術前CRT施行後食道扁平上皮癌患者78例において免疫組織学的染色を行いBMI1およびp16^<INK4A>発現を検討し、3年生存率との関連を統計学的に解析した。 【結果】BMIl(+)群は24例(30.8%)で、そうでない群に比較して有意に不良な転帰を示した;mean disease-free survival (DFS) time 16.8 vs 71.2 months; 3-yr DFS 13.3% vs 49.9%, P=0.002; mean overall survival (OS) time 21.8 vs 76.6 months; 3-yr OS 16.2% vs 54.9%, P=0.0005。p16^<INK4A>発現と、BMIl発現あるいは予後との相関性は認められなかった。 【意義】Hh-PcG経路の活性化は、術後早期再発のindicatorとなり、また'more aggressive'な特徴を示すCRT抵抗性cancer stem cellを反映するsurface markerとなりうることが明らかになった。Hh-PcG経路については現在固形癌において分子標的薬剤の臨床応用が始まっている。この系の発現評価が、薬剤投与症例選択に有用であることが示唆される。
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