研究分担者 |
中谷 行雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20137037)
朝長 毅 千葉大学, 医薬基盤研究所・基盤的研究部・プロテオームリサーチプロジェクト, プロジェクトリーダー (80227644)
大出 貴士 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00422246)
谷澤 徹 千葉大学, 医学部・付属病院, 准教授 (00227232)
鈴木 実 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (80312940)
|
研究概要 |
我々の施設および千葉胸膜腫瘍研究会で胸膜中皮腫に対して胸膜肺全摘を行った症例は43例である.そのうち7例が手術後5年以上生存した.これら長期生存症例(LS)7例と非長期生存例(SS)15例の胸膜肺全摘標本の病理学的所見,腫瘍細胞の核異型(NG,1-3),Ki-67標識率を検討した.また,プロモーター領域のメチル化をmethylation specific PCRで検討した. LSの胸膜肥厚は1例を除き5mm以下であった.1例は壁側胸膜と臓側胸膜の間に粘液性の腫瘤を認めた.1例は最大で1mmであった.全例,高分化上皮型で,乳頭状,管状,微小嚢胞状増殖を示した.NG1が1例,NG2が2例,NG3が4例だった.核分裂像は少なく,Ki-67標識率は10%以下であった.Myxoidな間質を認めたが,desmoplasticな間質は見られなかった.壊死は見られなかった.病変は非連続的で多発していた.2例において病変は壁側胸膜と臓側胸膜よりポリープ状に突出し,浸潤の程度は軽度であった.IMIG病期分類はIbが4例,IIIが2例,IVが1例であった,SSのKi-67標識率は2-50%であった.p16,p14,p15,RASSF1A,IGFBP-3のメチル化はそれぞれ20%,10%,53%,10%,26%に認められた.65%の症例はいずれかにメチル化を認めた.p16にメチル化を認める症例といずれかにメチル化を認める症例は予後が不良であった. メチル化は中皮腫の発生に関係している.中皮腫には生物学的に他とは異なる予後良好群が存在する.これらの症例に対して,胸膜肺全摘を行い,化学療法,放射線療法を加えることにより,良好な予後が期待できる.
|