研究概要 |
特定の白血病細胞の分画の検出と分離を施行するため,細胞内のmRNAの染色を試みた。QUAL/FRET(quenched autoligating/fluorescence resonance energy transfer)法を改良し,蛍光probeの導入技術や反応時間の調整など多方面の改良を施行した。培養細胞では,生細胞率の低下を最小限に,probe導入率60%を可能とした。白血病患者由来検体を使用し,標的分子(RNA)をwt-1とし,白血病細胞の同定と分離を生細胞の状態で行うことを試みた。作成されたprobeの細胞膜の透過性を一時的に高めるためStreptlysin O(SLO)を使用した。SLOの至適濃度の決定に関しては細胞や試薬の状態などによる再現性の低下を防止するため,probe導入前にSLOの処理濃度の最適化実験を行い,flow cytometryにて検討した。培養細胞においてSLOの添加により細胞内のPIの蛍光は一様に増加した。FITC-dextranの取り込みはSLOの濃度の増加とともに増加した。しかし正常のリンパ球に関してはFITC-dextranの細胞内への取り込みはされにくく,改善の余地が認められた。またリンパ球自身にも個体差も認められた。今後はPIに染色されず,かつFITC-Dextranの取り込み量が最大となる条件設定をして,FRET probeの導入を行う予定である。
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