研究概要 |
言語情報処理について、インフォームドコンセントを得た若年健康成人を対象に、音声呈示課題に対し、反応施行時および反応抑制時の事象関連電位成分の検討とともに、光トポグラフィーでも検討した。両側側頭部での酸化型ヘモグロビンの増加および両側前頭部での酸化型ヘモグロビンの増加が認められた。これまでに記録した事象関連電位のデータで頭皮上21か所以上から記録し、LORETA (low resolution electromagnetic tomography)を用いた解析が可能な一部のデータを用いて再度解析した。音声呈示課題でNogo課題施行時には、前帯状皮質や前窩前頭皮質にジェネレータがあることを示唆した。 脳内での体性感覚情報処理については、インフォームドコンセントを得た若年健康成人を対象にして、触覚の伝達に関わる大径有髄Aβ線維だけではなく、温痛覚の伝達に関わる小径有髄Aδ線維および無髄のC線維の検討も含めた感覚について、5Hz, 250Hz, 2000Hzのsine波の微弱な電流刺激による電流感覚閾値検査施行中の脳内での感覚情報処理に関して、光トポグラフィー検査を同時時記録し、小径有髄繊維が関わる知覚認識時の脳内の情報処理過程を検討した。微弱な電気刺激であるため、通常の大径有髄の刺激による電気刺激を用いた体性感覚大脳誘発電位の時のように刺激対側の体性感覚領野での酸化ヘモグロビンの増加は顕著ではなかったが、前頭部での酸化ヘモグロビンの増加は顕著であり、5Hzの時と2000Hzの時とで異なった。 時間的分解能に優れた事象関連電位での検討だけではなく、光トポグラフィーは空間的解析に有効であり、非侵襲的に被験者の脳内情報処理過程について評価するのに有用と思われた。
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