研究課題/領域番号 |
19590558
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山村 卓 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20132938)
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研究分担者 |
石神 眞人 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10379266)
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キーワード | 脂質異常症 / リポ蛋白 / レムナントリポ蛋白 / 動脈硬化症 / コレステロール / メタボリックシンドローム / トリグリセライド / 内蔵脂肪 |
研究概要 |
レムナントリポ蛋白(レムナント)は正常では代謝が速く健常者の血中にはほとんど存在しないが、インスリン抵抗性症候群などによるlipoprotein lipase(LPL)活性の低下・障害や、家族性III型高脂血症のようにリポ蛋白の受容体のリガンドであるアポリポ蛋白Eの異常といった代謝障害により、血中に蓄積する動脈硬化惹起性リポ蛋白である。一方、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積を基盤とし脂質異常症、耐糖能異常、高血圧を合併する動脈硬化易発症病態であるが、レムナントのメタボリックシンドロームにおける病的意義は完全には解明されていない。そこで我々が新規に開発したレムナント測定法であるホモジニアスアッセイ法を用いて、メタボリックシンドロームにおけるレムナントコレステロール(レムナント-C)の測定意義を検討することにした。 大阪大学保健センターにて健診を受けた男性528名、女性321名を対象に血液検査や血圧、腹囲などの臨床データと頚動脈超音波検査により計測された動脈硬化の指標であるmax intima-me dia thickness(max IMT)とmean IMTを用いて頚動脈硬化症における危険因子の検討を行った。また対象を日本内科学会のガイドラインに従いリスク別にコントロール群、内臓脂肪群、予備群、メタボリック群の4群に分け、レムナント-Cの4群間の差や危険因子のオッズ比を検討した。レムナント-Cは女性において頚動脈硬化症の危険因子であり、50歳以下の人やメタボリックシンドロームのリスクのない女性において独立した危険因子となった。そしてメタボリックシンドロームのリスクが増えるに従い有意に増加し、内臓脂肪群では基準値を超えることが分かった。内臓脂肪群ではコントロール群に比LIMTが有意に増加し、調整後のオッズ比も2倍を越えることから腹囲は頚動脈硬化症の危険因子である可能性が示された。
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