研究概要 |
II型糖原病は細胞内のリソソームに存在する酸性α-グルコシダーゼ(AαGlu)の遺伝的欠損に起因し、生体内にグリコーゲンが過剰蓄積する遺伝性代謝病である。現在、本症の治療法として酵素補充療法が積極的に行われているが、効果的治療のためには患児の早期発見が必要である。本症の診断は、筋生検材料や培養繊維芽細胞を用いたAαGlu活性測定によって行われてきた。しかし、新生児スクリーニングの試料として、これらの臨床材料を用いることはできない。そのため、他の新生児スクリーニングと同様に、採取が容易な血液試料を用いた酵素診断法が求められている。我々は、好中球に存在する干渉酵素(maltase-glucoamylase)をアカルボースで阻害することにより、混合白血球中のAαGlu活性を特異的に測定する方法を確立した(MolGenet Metab 88 : 22-28, 2006)。本研究の第1の目的は、この基本原理を乾燥血液濾紙に応用し、II型糖原病のための新生児スクリーニング法を開発すること、ならびにその診断精度の評価を行うことである。 一方、本症を含むリソソーム病に対して酵素補充療法が積極的に行われているが、酵素補充療法は神経症状を合併した疾患には効果が期待できないこと、酵素製剤が極めて高価であること、酵素蛋白質に対する免疫応答による副作用等が問題となっており、新たな治療法の開発が求められている。本研究の第2の目的は、新規治療戦略として注目されている化学シャペロン療法の作用機序を分子レベルで解析することである。
|