連携研究者;長崎大学医学部歯学部附属病院講師・官崎泰司・データマネジメントとデータ解析 長崎大学医学部歯学部附属病院助教・波多智子・形態診断と染色法精度管理 2001年新WHO分類に引き続いて、2008年改訂WHO血液腫瘍分類が発表された。これによると急性骨髄性白血病(AML)において特異的染色体・遺伝子変異を有する病型が追加され、また多血球系に異形成を認める病型がAML with myelodysplasia-relatcd changes (AML with MRC)と病名変更が行われている。多施設共同研究グループであるJapan Adult Leukemia Study Group (JALSG)のAML-97プロトコールに登録された638症例について改訂WHO分類を試みた。特異的染色体・遺伝子変異を有する病型は、155例(24.3%)を占め、その内訳は染色体t(8:21)が113例(17.7%)と最も多く、inv(16)は26例(4.1%)、t(9;11);9例(1.4%)、t(6;9);4例(0.6%)、inv(3)/t(3;3);3例(0.5%)であった。AML with MRCは、140例(21.9%)であり形態学的異形成を認めず染色体異常[del(11)(q21)]のみで1例が診断された。非特定型AMLが340例(53.3%)認められ、混合表現型急性白血病が3例(0.5%)占めていた。今回の試みでは、染色体のデータのみによる病型分類であったが、改訂WHO分類では、染色体に加え遺伝子異常による病型が追加されており、その検索が必須である。従って、多くの遺伝子検索を行い、改訂WHO分類に基づいたAMLの治療研究が次のJALSGの課題である。またコホート研究(JALSG-CS-07)では、登録証例数は1500例を超し、目標症例数に到達した。今後は、臨床的解析の一環としてWHO分類による病型診断を行うこととしている。
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