前年度の研究で抗核抗体(Fluorescent Antinuclear Antibody)のスクリーニング検査にて陽性(血清希釈160倍以上にてもヒト培養細胞と反応させた場合、核領域に免疫グロブリンの沈着を意味する蛍光が陽性と判定される場合)を呈した血清のうち、ELISA法による抗DNA抗体などの疾患特異的抗体が検出されなかった検体の収集を行う一方、抗核抗体スクリーニング検査に用いられているヒト培養細胞であるHEp-2細胞を培養し、界面活性剤、蛋白分解酵素阻害剤を含む細胞溶解液にて溶解を行い、これを抗原とし、その分画にはゲルを用いた2次元電気泳動などの固相プロテオミクスよりも感度が数段優れている液相プロテオミクスの系を用いた。一次元目は液相等電点電気泳動を用いて蛋白のpIの違いに基づいて分画し(20分画)、二次元目は逆相HPLCを用いて蛋白の疎水性の違いにより分画を行った(80分画)。これらの分画を抗原としてイムノスクリーニングを行い、患者血清と強く反応するいくつかの陽性分画が得られた。 本年度はこの方法に加えて、ゲルベーストの方法にても分析を試みた。 最終的に、この分画についてSDS-PAGEの諸条件下によるさらなる分画を行い、多数の蛋白が含まれていることを確認し、プロッティングを行った。さらに陽性バンドについてproteinIDを求めるべく種々検討を行ったが明らかな結果を得るには至らなかった。
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