アプタマーとは分子認識能を持つ核酸分子で、1本鎖DNA(ssDNA)や團Aの特異な三次元的構造により抗体分子と同等の親和性や特異性を示す。また抗体とは異なり免疫寛容の問題がなく、さらにin vitroでの作製が可能である。本研究ではアプタマーの特徴的な性質を利用して、今後、メタボローム解析により明らかになる難治性疾患に関与する生体成分をより特異的にかつ高感度に分析する方法の開発を目的とする。研究計画としては、1.アプタマーを用いた臨床診断法の確立、2.新規アプタマーの創製、3.アプタマーの分子標的薬剤への適用を行う。本年度は、アプタマーを用いて、マイクロチップ電気泳動やELISAによる迅速かつ高感度なバインディングアッセイの開発を行い、抗体を用いるイムノアッセイに代わる新しい診断技術としての評価を検討した。バインディングと分離条件を検討した結果、トロンビンアプタマー(50pmo 1)は約60秒で検出された。一方、トロンビンとの複合体は検出されなかった。そこで非結合型のアプタマーを指標としてトロンビンの検量線を作成したところ、1-100pmo l/assayの範囲で良好な検量線が得られた。本法は簡便、迅速、高感度な測定法であり、アプタマーが抗体に代わり得る有用な分析化学的方法であることが明らかとなった。
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