研究課題/領域番号 |
19590577
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
井平 勝 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (10290165)
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研究分担者 |
杉山 博子 藤田保健衛生大学, 医学研究科, 研究員 (10387714)
榎本 喜彦 藤田保健衛生大学, 医学研究科, 研究員 (00387713)
吉川 哲史 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (80288472)
浅野 喜造 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40131180)
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キーワード | HHV-6 / LAMP / Real time PCR / ウイルス分離 / IFA |
研究概要 |
2年目の研究では、前年度の研究成果である突発疹患児の直接LAMP法による迅速診断法の開発を基盤として、造血幹細胞移植後HHV-6感染症のモニタリングとしての直接LAMP法の有用性を検討した。加えて2種類のサブタイプを持つHHV-6に対し、それぞれ特異的ブライマーを設計することによりvariant特異的LAMP法を構築。血清からのvariant特異的なウイルスDNA検出法の有用性を評価した。【目的】我が国での造血幹細胞移植(HSCT)後感染はほとんどがHHV-6variant Bであるが、欧米ではHHV-6variant Aによる重症感染症の報告もある。よって、variant特異的な迅速診断法確立は重要であり、今回新たにHHV-6variant特異的LAMP法を確立。DNA抽出を省略した直接HHV-6variant特異的LAMP法が、HSCT後のHHV-6感染モニタリングとして有用か検討した。【対象と方法】標的領域をサブクローニング後、HHV-6抗体陰性血清でプラスミドの希釈系列を作成して各LAMP法の感度を決定。さらに、他のヒトヘルペスウイルスDNAを用い特異性を確認した。HSCTを受けた患児24名から採取された血液148検体を用い、全血ならびに血清からDNAを抽出、real-time PCR法(variant共通)によるウイルス量測定、血清を用いて直接HHV-6U31LAMP法(variant共通)とvariant特異的LAMP法を行い、各検査結果を比較した。【結果】Variant A LAMP法の感度は10コピー/反応、variant B LAMP法は100コピー/反応であった。両LAMP法は、variant間や他のヘルペスウイルスと交差反応は認めなかった。Real-time PCR法では、血清から抽出したDNA148検体中15検体が陽性となった(305-49375コピー/ml)。このうちU31LAMP法では13検体、variant B LAMP法では12検体が陽性であった。Variant A LAMP法が陽性となった検体はなかった。Real-time PCR法を基準にした場合、variant B LAMP法の感度は80%、特異度100%、陽性予測値100%、陰性予測値97.8%であった。全血から抽出したDNAを用いたreal-time PCR法と、血清variant B LAMP法の結果を比較し、全血中ウイルスDNA量のピークに一致し、血清中LAMP産物が陽性となった。 【考察】血清からの直接HHV-6variant特異的LAMP法により、HSCT後のHHV-6活動感染をほぼ的確に捉えられ、移植後のモニタリングとして本方法の有用性が示唆された。
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