細胞表面タンパクをコードする遺伝子(slpA)の配列を比較することによるクロストリジウム・ディフィシルのタイピング法(slpA sequence typing)を評価し、日本の医療施設において分離された菌株を解析した。slpA sequence typingは、タイプ能と解析力が良好で、特に再現性と解析結果の比較の容易性に非常に優れていた。また、slpA sequence typingは、糞便検体からのダイレクト・タイピングに応用が可能であった。検討した160糞便検体のうち、北米流行高病原性株PCR ribotype 027が分離されたのは1株のみであった。次に、得られたslpAの遺伝子配列データを基にして、loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法によりPCR ribotype 027株に特異的なslpA(slpAgc8)を検出する方法を確立した。本法はPCR ribotype 027株の迅速な同定に有用と考えられた。
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