種々の癌において癌特異的糖鎖が主要ながんマーカーであることが知られている。糖鎖がんマーカーはシアリルルイスa等を含め主にコア1型ο-結合型糖鎖であるが、Tn抗原やsTn抗体の様にコア模造で伸長の止まった糖鎖抗原はコア1型糖鎖の合成に問題があると考えられる。コア1型糖鎖はコア1合成酵素(Core1GalT)により合成されるが、コア1合成酵素の発現そのものはCosmcというコア1合成酵素特異的分子シャペロンの発現に依存することがわかってきた。特にCosmc遺伝子はX染色体上に座位し、Tn syndrome思考血液細胞で遺伝子異常が発見されていることから、上記糖鎖がん抗原発現との関連が期待される。そこで、本研究ではがん細胞におけるコア1合成酵素・Cosmcの蛋白質発現を調べることで各種がん細胞におけるコア1合成系の発現・活性を明らかにすると共に、がん細胞におけるコア1合成酵素・Cosmeの発現異常・構造異常について調べることを目的とするンそのたぬにはヒトコア1合成酵素およびCosmeに対する特異抗体が必要である。平成19年度ばヒトCosmcに対するモノクローナル抗体作製を合成ペプチドやリコンビナント蛋白等数種類の抗原を用いて複数回行った。その結果いずれの場合も反応するクローンは得られたが、合成ペプチドを抗原に用いた場合はIgM型の抗体クローンしか得られなかった。それに対してリコンビナント蛋白を抗原にした場合にはIgG型の抗体クローンが複数個得られており、現在抗体の特異性・免疫染色や免疫沈降の可否について検討中である。
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