研究概要 |
1. メタボリック症候群は炎症性反応が関与する事から、炎症関連遺伝子の多型がメタボリック症候群の発症のリスクとなっているかどうか、候補遺伝子を抽出して解析を行った。その中で、Cell death-inducing DNA fragmentation factor α-like effector A(CIDEA)遺伝子は細胞死に関連する遺伝子であり、最近ヒトCIDEA遺伝子に存在する非同義SNP、 V115F(dpSNP : rs45619832)が肥満と関連する事が北欧のコホート研究で報告された。そこで日本人健常者集団(n=300)において、この遺伝子多型が内蔵肥満に影響するかどうかを検討した。その結果V115Fは腹部肥満(OR=1.89,95%CI, 1.03-3.44)、血糖高値(OR=2.81,95%CI, 1.03-7.67)およびメタボリック症候群(OR=3.15,95%CI,1.05-9.48)と関連している事が明らかにした。しかしながら、日本人とスウェーデン人の間でリスクアレルが異なっており、今後さらに大きな集団を用いた異なる人種での関連研究が必要である。 2. TNFα遺伝子プロモーターの-856G/A レアバリアントは動脈硬化度の高い患者に見出されたレアバリアント(アレル頻度0.3%)であり、その機能に関しては不明であった。そこで細胞内トランスフェクション実験、ゲルシフトアッセイ等を用いて、レアバリアントが単球/マクロファージ系培養細胞の中で転写因子C/EBPの結合活性が増大する事によりTNFαの転写増大を引き起こすことを証明した。これによりレアバリアントが易炎症体質と関係する事が示唆された。
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