繊維・粒子状物質による発がんなどの呼吸器疾患には、慢性炎症が重要な役割を果たすと考えられる。8-ニトログアニンとは、炎症条件下で生成される変異誘発性DNA損傷塩基である。我々はアスベストを気管内投与したマウスの気道上皮で8-ニトログアニンが生成され、アスベストの発がん性の強さを反映するという注目すべき知見を得た。また感染・炎症関連発がん患者の臨床検体を用いた研究から、8-ニトログアニン生成は慢性炎症からがんの発生・進展に至る過程を反映し、発がんリスクを評価するバイオマーカーとして応用可能であることを明らかにした。
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