研究概要 |
脳AVMは、大家系は少なく、遺伝的要因の特定は困難である。そこで同祖性を仮定できる地域での家系内の連鎖解析に加えて、同地域で参加協力を得たAVM孤発例26人、コントロール30人を対象に相関解析をGeneChip Mapping 10K arrayを用いて行った。連鎖解析では3q27、4q34、6q25、7p25、13q32-33、16p13-12、20q11-13に有意な領域が検出されたが、孤発例での相関解析結果と一致する領域はなかった。そこで家族例における連鎖領域でAVMと関連が疑われたEPHB3(3qter)、EFNB2(13q32-33)、POFUT1(20q11)のcoding部分とその前後およびEFNB2 promoter部のシークエンシングを行ったが疾患と関連する変異は検出されなかった。また同地域で、形質が一致しない一卵性双生児二組についてGeneChip Mapping 50K arrayを用いてmicrodeletionとcopy number variationの有無について検証したところ、いずれも認められなかった。他地域の1家系について一部のAVMとの関連が報告されているENG(9q34)、ALK1(12q11)のシークエンシングを行った。この家系で直接疾患原因となる変異は検出されなかったが、ALK1で検出されたintron3のSNP(IVS3-35A>G)と孤発脳AVMとの相関性有意との報告(Stroke.36,2278-2280,2005)があるため、さらに全ゲノムの相関解析を行った地域のAVM孤発例26人、コントロール30人についてPCR-EFLP法で頻度を比較したがこの人数では全く差はみられなかった(RAF: case0.29, contro10.33)。 これらの結果からは症例数の少なさによる解析のパワー不足が示唆され、家系を中心とする症例増加に勤める必要がある。
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