研究課題/領域番号 |
19590587
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (50197935)
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研究分担者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
宮井 信行 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40295811)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
寺田 和史 天理大学, 体育学部, 講師 (40454798)
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キーワード | 労働衛生 / 振動障害 / 職業性レイノー現象 / レーザー血流画像化装置 / 冷水浸漬試験 |
研究概要 |
本年度は、振動障害の末梢循環機能検査における二次元画像化末梢循環モニタリング法の有効性および評価基準の妥当性の検証を目的として、様々なレベルの臨床症状をもつ対象者に実証検査を行った。本検査における冷水浸漬試験は10℃10分法に準拠し、皮膚血流は浸漬前、浸漬中、浸漬後において手掌側全体を含む範囲を連続的に測定した。撮像した画像イメージからは末節部における平均血流量を算出し、冷水浸漬試験の各相における代表値を示指、中指、環指の指ごとに求めた。また、職業的に振動に曝露されていない対照群の検査結果に基づいて、各代表値についてのカットオフ値(基準値)を設定した。そのうえで、個人の測定値が基準値よりも低値であれば「異常」、高値であれば「正常」とし、異常とされる数の合計によって所見の有無を判定した(異常数3以上で所見あり)。さらに、所見ありの者での所見レベルを、異常数によって3段階に分類した。このような検査方法および評価基準によって判定を行い、手指に白指があるレイノー群、白指はないが、しびれ、あるいは冷えがある有症群、いずれの症状もない無症群を比較すると、レイノー群では、所見ありと判定される者の割合が高率であり、その所見レベルはより高いクラスに分布した。一方、有症群では、大部分の者が所見なしと判定され、所見ありの者の所見レベルも相対的に低かった。また、無症群では、所見ありとなる者は有症群よりもさらに少なく、ほとんどが所見なしであった。この結果、レイノー現象の有無を判別したときのレイノー群の敏感度は77.8%、有症群と無症群の特異度はそれぞれ76.2%、91.7%となった。以上のように、検査結果から判定された所見レベルは、白指やしびれ、冷えなどの手指の臨床症状の程度をよく反映しており、振動障害の末梢循環機能検査としての本検査法の有効性および評価基準の妥当性が確認された。
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