研究概要 |
2007年度は6月22日から9月28日までの期間、2週間毎にと畜場で豚血液を採取し、血清200検体とバフィコート分画(主に白血球)96検体を得た。血清を蚊由来の培養細胞(C6/36)に接種し、ウイルスの分離を行った。その結果、8月10日および8月24日に大分県の東部に位置する異なる2地域で飼育されていた豚の血清から2株の日本脳炎ウイルス(OT83P2007、OT127P2007)が分離された。また、この2検体を含め4検体のバフィコート分画から日本脳炎ウイルス特異遺伝子がnested PCR法で検出された。この2株のウイルス感染細胞培養上清からRNAを抽出し,エンベロープ蛋白遺伝子の全塩基配列を決定した。この2株間の塩基配列を比較したところ、4ケ所塩基置換認められ、アミノ酸で1ケ所の変異が推定された。2006年度は4株,2005年度は1株のウイルスが分離されており,これら5株についてもエンベロープ遺伝子の全塩基配列を決定した。その他の大分分離株およびGenBankに登録されている日本国内分離株、東南アジア分離株を加えたエンベロープ遺伝子による分子系統樹を作成した。大分株OT212P2006を基準として比較すると、他の大分株3株(OT127P2007,0T83P2007,0T75P2005),2004年の香川分離株、1986年の中国雲南株(YNB861986)とは塩基配列で1〜2ケ所の変異に留まり、アミノ酸配列では大分株1株(OT83P2007)に1ケ所の変異があるのみで,他とは同じアミノ酸配列となり,100%の確率で同じ系統(clade)に入ることが判明した。また2005年、2003年の中国上海株とも共通祖先株から分岐していることが明らかとなった。
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