研究概要 |
あまみ地域は、日本の平均と比べて長寿者の割合が高い一方、男性の平均余命は日本人の平均より低いという2面性を有している。平成17年度より開始した「がん」を対象とした日本多施設共同コホート研究(J-MICC study:主任研究者 浜島信之)のベースライン調査に追加で動脈硬化の程度を非侵襲的に評価できる心臓足首血管指数(CardioAnkle Vascular Index=CAVI)の計測を平成17〜19年度の3年間で研究対象者4,ll6名に対して行った。CAVIの解析の結果、同地域における動脈硬化の分布に2面性があることが明らかになった。日本人の標準値に比べ、60歳代女性の高齢群では動脈硬化の進行が抑えられている人の割合が多い一方、40歳代男性では逆に動脈硬化が進行している人の割合が多かった。動脈硬化進展の性・年齢群別の分布の違いが、長寿者の分布と平均余命の男女差に関連している可能性があることが示唆された。また、平成20年度に行う予定である動脈硬化の進展と関連があると考えられる候補遺伝子のSNiPs解析に関しては、平成19年度は「あまみにおける長寿要因の研究」に参加した90歳以上の住民のうち、83名の血液検体からDNAの抽出を行った。平成20年度には一般住民健診受診者の血液検体からのDNA抽出を行い、この両者に対するSNiPs解析を実施する。 J-MICC studyで行った調査票による生活習慣調査約4,100人分のデータのコンピューターへの入力およびデータクリーニング作業を現在継続中であり、平成20年度には利用可能となる見込みである。 今後、動脈硬化の進展およびその予防に関わる危険要因と防御要因を、環境・宿主要因の面から明らかにするとともに、今回の調査結果をベースラインデータとして長期追跡調査を継続し、生活習慣病予防および長寿に関わる要因を明らかにしていく予定である。
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