食品成分の併用による発癌予防効果の増強を検討する為に、まずそれらの併用研究に供する要素成分の探索として、始めに食品成分や天然成分の単独での癌細胞増殖抑制効果を探索・検討した。 その結果として、植物由来成分であるcryptolepineに癌細胞増殖抑制効果のあることを見いだし、その作用としては、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)を阻害することで細胞周期の停止作用を示すCDK阻害因子p21の発現をcryptolepineが転写レベルで誘導することにあることを見いだした。 また、発癌予防効果研究においては動物実験研究が必須と考え、まず既にp21や、抗腫瘍性リガンドであるTRAILのレセプター分子であるDR5の発現を誘導することが知られていた食品成分であるsulforaphaneを用いて、in vitro及びin vivoでの抗腫瘍効果を検討した。その結果、sulforaphaneはin vivoだけでなく、in vivoにおいても癌細胞の増殖抑制効果を示すことを確認した。 また疫学研究及び動物実験研究では、発癌予防効果が知られているAllium野菜に注目し、それらに含まれる有機硫黄化合物の一種であるdially trisulfideに癌細胞増殖抑制効果があることを見いだし、その効果は、dially trisulfideにより癌細胞内で産生されるreactive oxygen speciesが関与することを確認した。
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