研究概要 |
食中毒を起こす細菌やウイルスを短時間で、簡単に、しかも多検体検出・鑑別診断できることが、食の安全確保において、また早期予防・早期治療を行う上で重要である。この目的のために、種々の細菌およびウイルスに対する単クローン抗体を作製し、その抗体を利用してELISA法、イムノクロマト法などによる迅速・簡便診断法の開発を試みた。 A.各種微生物に対する単クローン抗体の作製とその解析 1)ウイルス性食中毒のうち、ノロウイルスに対する抗体ついてば確立した。 2)現在、同科のサポウイルスに対する抗体を樹立し、一部はすでにELISA法などに有用であることを確認している。 3)現在、E型肝炎ウイルスに対する抗体を作製中である。 また、細菌性食中毒の原因となる以下の微生物に対する単クローン航体をいくつか得ることができた。このうち一部ELISA法などに有用であることを確認した。現在、他の抗体の詳細を解析し,実際の診断に応用可能かどうかを検討している。 4)べ口毒素産生菌(2株:VT1およびVT2に対する抗体であることを確認し、ELISA法に有用であることが分かった) 5)黄色ゴドウ球菌(4株:エンテロトキシンに対する抗体であることを確認し、ELISA法に有用であることが分かった)) 6)大腸菌(6株:うちひとつは毒素原性大腸菌の産生する易熱性毒素に対する抗体と考えられた) 7)セレウス菌(2株:うちひとつはホスフォリパーゼCに対する抗体と考えられた) 8)ウエルシ菌(5株:いくつかはコアグラーゼに対する抗体であると考えられた) 9)腸炎ビブリオ(6株:いくつかは耐熱性溶血毒に対する抗体と考えられた) 10)カンピロバクター(5株:菌体成分に対する抗体で詳細は検討中である) 11)サルモネラ菌(いくつかの抗体を得たが、いずれも診断には有用ではなかったため、再度抗体を作製中である) B.迅速簡便診断法の開発 ノロウイルスに対する抗体を用いた迅速簡便なELISA法およびイムンクロマト法の診断法はすでに開発している。現在,これに準じて、有用な抗体(特にサポウイルス、ベロ毒素、エンテロトキシンなど)を用いてELISA法およびイムノクロマト法への応用を検討中である。
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