平成19年度は、次の基礎実験を行った。 1.経口血糖降下薬・グリクラジドは、脂肪前駆細胞および成熟脂肪細胞においてEGFによる受容体のリン酸化を抑制し、それにより脂肪前駆細胞の増殖を抑制し成熟脂肪細胞への分化を促進することを明らかにした。これにより、グリクラジドは、細胞内情報伝達系を制御することによって肥満の予防・治療にも寄与することが示唆された。 2.ライチ由来新規低分子ポリフェノールは、高脂肪食による肥満マウス・脂肪組織において抗酸化作用を示し、炎症性サイトカイン遺伝子の発現抑制作用もみられ、肥満の予防・改善に有効なツールになることが示唆された。 次に、EGF-ErbB系が脂肪細胞で果たす役割を明らかにするために、 1.EGFファミリーおよびその受容体ErbBファミリーの発現をmRNAおよびタンパク質の発現量で解析を行った。これらのファミリーは種類が多いので代表的なメンバーから順次解析を行っている。 2.上記で発現の見られた因子を用いて、脂肪細胞への反応の解析を並行して行った。 3.脂肪細胞との共培養での効果を検討するために、実験動物の海馬から神経細胞を分離しprimary cultureを行い、その手法の確立を行った。 平成20年度は、引き続き脂肪細胞におけるEGF-ErbB系の機能解析を進めることによりメタボリックシンドローム予防へ向けた分子機購を明らかにしたい。
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