研究課題/領域番号 |
19590604
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
正木 秀幸 近畿大学, 医学部, 講師 (90247982)
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研究分担者 |
高崎 智彦 国立感染症研究所, ウイルス1部, 室長 (20221351)
倉根 一郎 国立感染症研究所, ウイルス1部, 部長 (90278656)
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キーワード | ウエストナイルウイルス / 成分ワクチン / CTL / E蛋白質 / cross-presentation / 中和抗体 / 感染防御 |
研究概要 |
ウエストナイルウイルス(WNV)は、我が国に侵入を危惧されている蚊媒介性のヒト感染性フラビウイルスであり、高齢者層を中心に時に致死性の脳髄膜炎を発症させる。現時点では治療薬は無く、ワクチン接種による感染予防が最も効果的と考えられているが、未だ実用ワクチンは開発されていない。近縁の日本脳炎ウイルスに対する現行ワクチン(不活化ワクチン)による知見より、ウイルス構造蛋白であるE蛋白が感染予防に重要な中和抗体を誘導することが知られているが、生ワクチンとは異なり不活化ワクチンでは、ウイルス排除に重要な役割を果たす細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導されない。そこで本研究課題ではWNVの組換えE蛋白を用いたcross-oresentationの系により、中和抗体のみならずCTLを誘導する、より安全な成分ワクチンの基礎的研究を行うこととし、研究初年度に当たる本年度においては主に、昆虫細胞による租換えWNVE蛋白の大量発現系を確立するために、以下の2点を行った。 1.バキュロウイルス発現系による組換えWNVE蛋白の作成WNV(NY99-6922株)由来のPrMとE蛋白質のcDNAが入ったプラスミド(pcWNME)より、PrMの最終45塩基からEの1290塩基(E蛋白質N末端側80%相当部)を増幅するようにprimerを設計してPCR法により同部を増幅、N末端側にHis tagを持つInvitrogen社Bac-to-Bac SystemのドナープラスミドpFastBacHTAのEcoRIとXhoIサイトに導入してクローニングし、組換えドナープラスミド(pFastBacWNE)を作製した。これをbacmidが内在する大腸菌株DH10Bacにtransfectさせてtranspositionを起こさせることにより組換えbacmidを得た。今後は、この組換えbacmidを蛾由来の細胞株Sf9にtransfectすることにより組換えバキュロウイルスを得て、さらにこれをSf9もしくはHigh Five細胞に感染させることにより組換えWNVE蛋白を大量発現させ、Niキレートクロマトグラフイーを用いて精製する予定である。 2.Drosophila発現系による組換えWNVE蛋白の作成E蛋白質cDNAの1番目から1218番目の塩基を増幅するようにprimerを設計し、PCR法により同部を増幅、C末端側にHis tagを持つInvitrogen社Drosoohila Expression Systemの発現ベクターpMT/Bip/V5-His AのBglIIとXhoIサイトに導入してクローニングし、組換え発現プラスミドpMTBip-WNE406)を得た。今後はこれをpCoHygroと共に、ショウジョウバエ由来S2細胞にco-transfectしてhygromycin-Bで選択しstable transfectantを樹立、硫酸銅添加により誘導をかけて組換えWNVE蛋白を大量発現させ、Niキレートクロマトグラフイーを用いて精製する予定てせある。
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