本年度においては昆虫細胞による組換えウエストナイルウイルス(WNV)E蛋白の大量発現系を確立するために、以下の2点を行った。 1. バキュロウイルス発現系による組換えWNVE蛋白の作成 昨年度においては、WNV(NY99-6922株)由来のPrMとE蛋白質のcDNAが入ったプラスミド(pcWNME)より、PrMの最終45塩基からEの1290塩基(E蛋白質N末端側80%相当部)を増幅するようにprimerを設計してPCR法により同部を増幅、N末端側にHis tagを持つInvitrogen社Bac-to-Bac SystemのドナープラスミドpFastBac HT Aに導入してクローニングし、組換えドナープラスミド(pFastBacWNE)を作製した。しかしながら、この系ではシグナル配列上流にHis tagが存在することになり、分泌蛋白質として発現され得ないことに気付いたので、本年度はドナープラスミドとしてpFastBaclを用い、C末端側相当primerにHis tag配列を組み入れて、ほぼ同様の手法にてBam HIおよびXho Iサイトに導入して組換えドナープラスミド(pFastBacl-WN80E)を再構築した。この組換えドナープラスミドpFastBacl-WN80Eを、bacmidを内在する大腸菌株DH10Bにtransfectさせることによりtranspositionを起こさせて組換えbacmid(Bac/WE80E)を得た。現在は、この組換えbacmidを蛾由来の細胞株Sf9にtransfectさせて組換えバキュロウイルスを作製中である。今後は、組換えバキュロウイルスを、同じく蛾由来の細胞株であるHigh Five細胞に感染させることにより組換えWNV E蛋白を大量発現させ、これをNiキレートクロマトグラフィーにより精製する予定である。 2. Drosophila発現系による組換えWNV E蛋白の作成 昨年度に構築した組換え発現プラスミドpMT/Bip-WNEを、ショウジョウバエ由来S2細胞にtransfectさせて硫酸銅添加により誘導をかけると、組換えWNV E蛋白を一過性に発現することを確認した。現在は、pMT/Bip-WNEとpCoHygroをS2細胞にco-transfectしてhygromycin-Bで選択することによりstable transfectantの樹立を試みている。今後は、このstable transfectantに組換えWNV E蛋白を大量発現させ、これをNiキレートクロマトグラフィーにより精製する予定である
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