本年度においては、以下の4点を行った。 1. Drosophila発現系による組換えWNVE蛋白の作成 ワクチン抗原に使用する組換えウエストナイルウイルス(WNV)E蛋白の作成のために、昨年度までに樹立した遺伝子導入・安定発現株であるS2.WNを大量に撹拌培養して硫酸銅添加により発現誘導をかけることにより、培養上清中にHisタグを保持する目的とする組換えWNVE蛋白を発現・分泌させた。その培養上清を採取して、Niキレートクロマトグラフィー・イオン交換クロマトグラフィー・ゲル濾過により組換えWNVE蛋白を精製した。 2. バキュロウイルス発現系による組換えWNVE蛋白の作成 ワクチン抗原に使用する組換えWNVE蛋白の作成のために、昨年度までに樹立した遺伝子組換えバキュロウイルスBac.WNを、大量に撹拌培養したHigh Five細胞に感染させることにより、(Drosophila発現系によるものとは若干異なった)Hisタグを保持する目的の組換えWNVE蛋白が発現することを確認した。その培養上清および感染細胞を採取して可溶化、超遠心もしくは限外濾過によりバキュロウイルスが除去できることを確認したうえで、Niキレートクロマトグラフィー・イオン交換クロマトグラフィー・ゲル濾過を用いて組換えWNVE蛋白の精製中を試みた。 3. 大腸菌発現系による組換えWNVE蛋白の作成 昆虫細胞発現系により作成されたワクチン抗原に含まれるHisタグに対する免疫反応を除外するために、異なったGSTタグを保持する組換えWNVE蛋白の作成を試み、大腸菌発現ベクターpGEX-6P-2にE蛋白質遺伝子を組み込んだpGEX-WNEを作成し大腸菌に導入、IPTG誘導を掛けることにより、目的の組換えWNVE蛋白の発現を確認した。 4. WNVE蛋白遺伝子導入EL-4細胞の作成 CTLの標的細胞として、EL-4細胞(H-2^b)のWNVE蛋白遺伝子導入・安定発現株の作成を試みた。
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