研究概要 |
アトピー性皮膚炎の発症関連要因及び予防要因解明を目的として,二世代継続前向きコホート研究である「九州、沖縄母子保健研究」を開始した。平成19年度はベースライン調査として妊婦のリクルートを実施した。3千名の妊婦の登録を目標とした。調査の運営方法として,産婦人科において,本研究に関するリーフレット,調査説明受諾同意書,返信用封筒式を妊婦である対象候補者に配布する。調査に関する詳細な説明を受諾した妊婦は調査説明受諾同意書を研究事務局に送付する。研究事務局から妊婦に電話で詳細な説明を行い,同意を得た後,研究参加者とした。当初,福岡県と沖縄県のほぼ全ての産科医療機関でリーフレット等の配布をしていたが,研究参加者の人数が伸び悩み,福岡県以外の九州全県のほぼ全ての産科医療機関においてもリーフレットの配布をしていただくこととした。今年度中に1800名程度の妊婦の研究参加が見込まれる。ベースライン調査では,本研究用に開発した生活習慣,生活環境,既往歴等に関する質問調査票と食事歴法質問調査票を使用している。他に,寝具のほこりを採取し,ダニ抗原量を測定している。出産直後に1回目の追跡調査を実施している。生後1ケ月頃に2回目の追跡調査を実施している。生後4ケ月頃に3回目の追跡調査を実施している。以後は,1歳時,2歳時と毎年一回追跡調査を行う予定である。各追跡調査では,質問調査票を用いて,情報を収集する。生後4ケ月時の調査では,口腔粘膜細胞を採取し,遺伝情報を得る。ベースラインデータを活用して若年成人女性における各種環境要因とアトピー性皮膚炎有症率との関連を評価する。追跡調査のデータを用いて,生まれた子供の出生前後の各種環境要因及び遺伝要因と乳幼児期アトピー性皮膚炎発症との関連を調べる。最終的に,アトピー性皮膚炎における環境要因と遺伝要因の交互作用を解明し,オーダーメイドのアトピー性皮膚炎を探索する。
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