研究概要 |
昨年の報告においては、1991年〜2004年までにルイ・パストゥール医学研究センターの免疫ドックを受診した1405名のデータを解析し、対数変換したIFN-α産生能はBMI,logTG,dBP,UAと有意な正の相関を示し、またlogBS,logHbA1c,HDL,年齢と負の相関を示すことを報告した。しかしながら、これらのデータには既に糖尿病他、種々の疾患に罹患している人が含まれていると推察されたので、再度、カルテにあたりなおし、感染、炎症、糖尿病、高脂血症、高血圧等の疾患の疑われる人および、服薬中の人を除外しデータの再解析を行った。 今回は京都日赤を受診した患者のデータも加え、結果として、877名を対象とした。そこから、前述の条件基準にふれる人を除外し、最終的に、575名を対象とした。その結果、対数変換したIFN-α産生能には男性と女性の性差、log(TG),尿酸と正の相関が、年齢と空腹時血糖(FPG)とは負の相関が認められた。さらに、log(IFN-α産生能)を従属変数、上記項目を独立変数として重回帰分析したところ、log(FPG)と年齢と性別が、log(IFN-α)に有意に関係していることが明らかにされた。 これまでに、高血糖と易感染性の関連については、専ら好中球機能との関連で議論されていたが、今回私たちは、IFNシステムという自然免疫機能の根幹をなす機能が、高血糖により低下することを明らかにした。この事実は、糖尿病患者の免疫機能不全の一部分を説明するものと推察される。この結果については現在論文投稿中である。
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