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2007 年度 実績報告書

ヒ素の転写因子調節作用に着目した免疫細胞特異的作用メカニズムと免疫毒性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19590611
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

野原 恵子  独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 室長 (50160271)

キーワード無機ヒ素 / 転写因子 / 免疫細胞
研究概要

無機ヒ素(亜ヒ酸)をマウスに投与すると、胸腺萎縮がおこることが報告されている。そこで無機ヒ素による胸腺での遺伝子発現変化を手がかりとして、ヒ素の免疫細胞への影響のメカニズムを検討した。最近の他の細胞種における研究では、無機ヒ素が転写因子Nrf2を活性化することが報告されているが、亜ヒ酸投与したマウスの胸腺ではNrf2の標的遺伝子であるHomx1等の発現変動は検出されず、これに対して細胞周期進行に関与するCchb2、Ccne2等の遺伝子群の発現抑制が顕著に観察された。胸腺、脾臓、肝臓、腎臓、肺等の各種臓器におけるCcnb2およびCcne2のmRNAの発現量をリアルタイムPCRで測定したところ、両遺伝子の発現は対照群のマウスの胸腺で特に高く、ついで脾臓で高く、両臓器での発現が亜ヒ酸曝露で大きく抑制されることが明らかとなった。またCcnb2およびCcne2の発現調節を行う転写因子であるE2Fファミリータンパクの遺伝子の発現量についても、やはり胸腺で特に高く、ついで脾臓で高いことが示され、無機ヒ素はリンパ球特異的にE2Fファミリーの機能を変化させることが示唆された。そこでさらにリンパ球由来の細胞株に亜ヒ酸を曝露して、E2Fファミリーの標的遺伝子プロモーターへの結合量をChIPアッセイで調べた結果、亜ヒ酸曝露によって転写促進に働くE2F1の結合量が減り、転写抑制に働くE2F4の結合量が増加することが明らかとなった。さらに亜ヒ酸曝露がE2F4と相互作用するポケットプロテインに影響を及ぼすことが示唆された。無機ヒ素はリンパ球特異的にこれらの変化を引き起こすことによって細胞周期進行に働く遺伝子の発現を低下させ、細胞増殖を抑制することが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Arsenite-induced thymus atrophy is mediated by ceH cycle arrest:A characteristic downregulation of E2F-related genes revealed by a microarray approach2008

    • 著者名/発表者名
      K. Nohara, K. Ao, Y. Miyamoto, T. Suzuki, S. Imaizumi, Y. Tateishi, S. Omura, C. Tohyama, T. Kobayashi
    • 雑誌名

      Toxicological Sciences 101

      ページ: 226-238

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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