研究課題/領域番号 |
19590615
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研究機関 | 山梨県環境科学研究所 |
研究代表者 |
瀬子 義幸 山梨県環境科学研究所, 環境健康研究部, 研究管理幹 (60133360)
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研究分担者 |
長谷川 達也 山梨県環境科学研究所, 環境健康研究部, 研究員 (90208489)
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キーワード | バナジウム / 地下水 / 健康 / 地域差 / 富士北麓 / 微量元素 / 住民検診 / 地域相関研究 |
研究概要 |
富士山の地下水には微量元素バナジウムが比較的高濃度(約0.1mg/L)に含まれており、富士山周辺の住民はこの水を飲用し調理に使用している。近年、バナジウムを含む天然水の飲用が糖尿病患者の高血糖を改善することや、実験的に誘導した軽度のインスリン抵抗性を改善することが報告されている。もし、このような報告が事実であるならば、富士山周辺の住民の健康状態は他の地域と比較して良好であることも期待される。このことを検証すべく、本研究では富士北麓とその他の地域の健康状態の比較をする地域相関研究を実施している。平成19年度は、3市町(富士吉田市、富士河口湖町、北杜市)が実施した住民検診の際に研究協力者を募り、同意書に署名いただいた方々約800名の検診データ(血糖値、総コレステロール等)、測定データ(体脂肪率、内蔵脂肪レベル、末梢血液循環レベル、尿中塩分濃度等)、生存試料(血液、尿、頭髪)を得た。健康指標や体の特性を示す調査項目の多くは、性、年齢によって有意に変化した。現時点までの統計学的解析(分散分析)の結果、血糖値、総コレステロール、中性脂肪、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)、体脂肪率、内蔵脂肪レベル、BMI(Body Mass Index、肥満度を表す指数)については、男女とも地域間の差は認められなかった。一方、比較的長期にわたる血糖値の平均的状況を示すHbAlcは、男では地域差は認められなかったものの、女ではわずかながら富士北麓地域(富士吉田市、富士河口湖町)の方が北杜市より統計学的に有意に低い結果が得られた。尿中塩分濃度は男女ともに富士吉田市が最も高かった。末梢血液循環レベル(動脈硬化の指標で、得点が低い方が動脈硬化の程度が高いと考える)は富士吉田市の女のデータが他の2地域より有意に低い結果が得られた。H20年度は、データ解析を継続すると共に、収集した生体試料中のバナジウム等を測定し、富士山周辺地域住民の特異性の有無を明らかにすると共に、バナジウムと関連する健康指標の有無を明らかにする予定である。
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