研究課題/領域番号 |
19590617
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究), 臨床研究企画運営部, 研究室長(予防医学) (40335443)
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研究分担者 |
佐野 喜子 独立行政法人国立病院機構, 臨床研究企画運営部, 研究員 (20399603)
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キーワード | 糖尿病 / 腎症 / 慢性腎臓病 / イソフラボン / エクオール |
研究概要 |
【目的】糖尿病性腎症の発症や進展には遺伝、食事及び炎症(酸化ストレスを含む)が複雑に関与する。特に、食事から摂取される大豆イソフラボンが脳梗塞・心筋梗塞の発症および死亡リスクを低減させることが明らかにされている。また、腸内細菌叢の違いによりダイゼインをエクオールに変換できる者(エクオール産生者)とできない者(非産生者)がおり、大豆イソフラボンの骨密度に対する影響が異なる。しかしながら、BMI、レプチンや炎症との関連は明らかではない。そこで、今回我々はエクオール産生者のBMI、レプチン、高感度CRPに与える影響について検討した。【方法】対象は地域一般住民である成人男女244名(平均年齢65歳、男性112名、女性132名)。血中レプチン、高感度CRPをEIA法で測定した。早朝空腹時尿でHPLC法を用いてゲニステイン、ダイゼイン、エクオール等を測定した。食生活についてはアンケート調査で摂取頻度を調査した。【結果】エクオール非産生者(n=178)に比べ、産生者(n=66)では、血中レプチン濃度が有意に低かった(4.8±5.6vs.3.6±3.1;p=0.032)。男性ではエクオール産生の有無はBMIに影響を与えなかったが、女性においてはエクオール非産生者(n=102)に比べ、産生者(n=30)ではBMIが低い傾向がみられた(24.6±3.1vs.23.4±3.2kg/m2;p=0.069)。女性において高感度CRPはエクオール非産生者に比べ、産生者で有意に低かった(0.53vs0.33mg/dl;p<0,001)。大豆製品、肉類、野菜と果物類、間食、コーヒーやお茶の摂取頻度には両群で有意差はなかった。【結論】以上の成績は、エクオール産生がレプチンと高感度CRP低減作用を有していることを示唆している。地域におけるCKD対策として、大豆イソフラボンやエクオールが有望視される。
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