研究課題/領域番号 |
19590617
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
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研究分担者 |
佐野 喜子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (20399603)
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キーワード | 糖尿病 / 腎症 / 慢性腎臓病 / 時計遺伝子 / 遺伝子多型 / 食事療法 / 微量アルブミン尿 |
研究概要 |
[目的]糖尿病性腎症の発症や進展には遺伝、食事及び炎症(酸化ストレスを含む)などが複雑に関与する。特に、腎症の進展には血圧、超悪玉コレステロール(sdLDL)やアディポネクチンが関与することが明らかにされている。そこで、今回我々は生活リズムに関わる時計遺伝子多型とsdLDLとの関連について検討し、家族や地域を巻き込んだ食事介入を行った。[方法]対象は地域一般住民である成人男女365名(平均年齢63±14歳;男性170名、女性195名)である。時計遺伝子多型(3111T/C)はflorescent allele-specific DNA primer assay systemを用いて判定した。sdLDLはリポプリントシステムを用いて測定した。微量アルブミン尿を有する37名(平均年齢73±9歳;男性20名、女性16歳)に対し、食事介入群と対照群の2群に分け、3か月間を追跡した。[結果]時計遺伝子の3111Cアレルの頻度は0.14で、3111Cアレルを持つ者に比べ、持たない者はsdLDLが有意に多かった(0.8±1.9%vs.1.7±3.4% ; Pく0.05)。重回帰分析でも、年齢・性別・BMI・運動習慣と独立して時計遺伝子多型(3111T/ C)はsdLDL分布と有意に関連していた。また、介入研究では97%が追跡可能であった。介入3カ月後、対照群に比べ、介入群で収縮期血圧は有意に低下した。さらに、介入群では微量アルブミン尿が支援前に比べ、有意に改善した。[結論]以上の成績は、時計遺伝子多型が超悪玉コレステロールの増加と関連していることを示している。また、家族や地域を巻き込んだ食事介入が血圧改善のみならず、微量アルブミン尿も改善させることが明らかとなった。これらの手法を広めることで、地域における糖尿病性腎症予防が期待できると考えられる。
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