研究概要 |
周産期に甲状腺ホルモン(TH)を阻害されると、次世代にどのような脳神経発達障害が生じるのか検討した。TH阻害剤メチマゾール(MMI)を飲料水に混入、妊娠ラットに投与した。濃度は、0(C), 0.002(L), 0.01(M), 0.02(H)%、投与期間はGD15〜PD21。指標として、(1)20秒間反応を抑制するとエサが与えられるDRL20、(2)ターゲットが提示された直後に反応するとエサが与えられるTD、(3)聴性驚愕刺激(P)の直前に小さな音(PP)を提示すると、驚愕反射が抑制される. PPI、(4)水迷路による空間記憶の訓練、を行った。TH阻害に対して脆弱な海馬、および脳全体の体積をMRIで測定した。1, DRL20 : TH阻害群は、20秒間反応を抑制できる。しかしエサを獲得できなかった後にバースト反応(短時間に反応を連発)が増加。オスに顕著。衝動性の高まりを示唆。2, TD : 試行間間隔が短く、新しい試行がすぐに始まる場合にH群の正反応率が低下。すばやく注意を切り替えることができない。試行間間隔が長い場合には、正反応率に差なく、持続的注意には影響しない。H群は固執反応(反応連発)が多く、行動抑制に障害。3, PPI : Pによる驚愕反射は、MMI量に依存して増大。パニック傾向がある。この過剰反応は、PD1年日でも消失せず。PPが75dBのとき、H群はPPIが低下。しかしPPが85と95dBで億影響なし。聴覚障害の可能性がある。4, 水迷路 : 参照記憶のテストでは、H群も空間記憶を形成。しかし逃避台にたどり着くまでの反応時間が長い。多動性のため、不必要に泳ぎまわった可能性がある。作業記憶のテストでは、H群の正答率が低い。作業記憶の障害を示唆。5, H群は海馬、脳の体積がC群より縮小。しかし海馬/脳の体積比には差なし
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