研究概要 |
日本語版NCATS(Nursing Child Assessment Teaching Scale:遊び場面の親子相互作用アセスメント尺度)簡易尺度の試作版(以下,試作簡易版とする)を以下の手順で作成した。(1)日本人母子の遊び場面の相互作用の録画データ(150件)の収集,(2)日本語版NCATS(73項目,以下原版とする)によるコーディング(150件),(3)コーディング・データの因子分析による項目分析,(4)専門家会議および質問紙調査(NCATSライセンス認定者である研究者5名およびNCATSについて未知の保健師・心理士11名が対象),概念検討による項目選定,(5)(3)と(4)の結果を踏まえた試作簡易版(29項目)の作成。 次に,(6)試作簡易版によるコーディング(75件)の後,(7)試作簡易版の信頼性を検討した(原版および試作簡易版でのコーディング結果の相関係数,試作簡易版のα係数の算出)。原版と試作簡易版の相関係数はr=0.60(p<.001)となり,試作簡易版の信頼性の高さが示唆された。しかし,α係数(NCATSは2値データのためKR20を利用して算出)は0.57とやや低めで内的整合性は十分に高いとはいえなかった。これには次の理由が考えられる。(1)臨床的な有用性を考慮し,統計学的な因子分析の結果のみでなく専門家の意見や概念検討を加味して項目選定した,(2)項目数が29と少ない,(3)使用したデータ数が少ない。 次年度はデータ数を増やして,今回作成した試作簡易版の信頼性について再検討したうえで,臨床場面での有用性について検討する予定である。
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