研究課題/領域番号 |
19590624
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
新鞍 眞理子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 講師 (00334730)
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研究分担者 |
成瀬 優知 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (30135008)
寺西 敬子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10345580)
下田 裕子 富山福祉短期大学, 看護学科, 講師 (40352794)
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キーワード | 介護保険 / 要介護度 / 障害高齢者 / 認知症 / 心身機能 / 高齢者 |
研究概要 |
平成19年度は、要介護度別、障害自立度別、認知症自立度別の大まかな維持期間を算出した。平成20年度は、障害自立度および認知症自立度の変化の特徴について詳しく検討した。障害自立度の変化では、脳卒中と認知症が、ランク別障害自立度の悪化に及ぼす影響と、ランク別維持期間の特徴について分析した。また、認知症自立度の変化では、ランク別の変化の実態と認知症の症状との関連について分析した。 その結果、ランク別障害自立度の悪化に関するハザード比は、脳卒中と認知症が共に無い群に比べて、ランクJでは脳卒中と認知症が共にある群が1.80、ランクAでは認知症のみある群が1.62、脳卒中と認知症が共にある群が1.93となり有意に高かった。しかし、ランクBでは脳卒中と認知症が共にある群は1.59であったが有意な差はみられなかった。また、脳卒中と認知症の組み合わせによる障害自立度が悪化するまでの維持期間を25パーセンタイル値で求めると、ランクJでは脳卒中と認知症が共に無い群が一番長く1.96年、脳卒中と認知症が共にある群が一番短く0.77年であった。ランクAでは、脳卒中単独群が一番長く3.50年、脳卒中と認知症が共にある群が一番短く1.53年であった。ランクBでは、脳卒中と認知症が共に無い群と脳卒中単独群では25パーセンタイル値は測定できず、認知症単独群では4.00年、脳卒中と認知症が共にある群では2.96年であった。 一方、認知症自立度の変化では、新規認定時から6ヵ月後の更新時に、12.0%が改善し、60.5%が維持していた。全体では中核症状である記憶や理解、見当識に関する項目とひどい物忘れの症状をもつ者の割合が多く、改善群と悪化群においても症状を有する者の割合が多かった。また、これらの項目は、認定調査場所や歩行ができるかどうかによって、症状を有する者の割合に差はみられなかった。 以上のことから、脳卒中と認知症の組み合わせは、障害自立度の悪化に相乗して影響を及ぼしており、ランク別の維持期間も短縮していることが明らかとなった。また、認知症自立度では、認知症の中核症状は、自立度が改善する場合にも、悪化する場合にも関連していることが示唆された。
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