研究概要 |
A県X地区(人口約5万人、高齢化率26.0%、介護保険認定率16.3%)で2001~2008年に新規要介護認定を受けた第1号被保険者のうち、3~6か月後に更新認定を受けた者と死亡者の2,376名を分析した。 (1)要介護原因疾患の有病率 筋骨格系疾患41.5%、脳血管疾患35.1%、認知症31.1%、高血圧23.1%、心疾患16.0%、内分泌疾患13.9%、骨折12.4%、消化器系疾患9.3%、呼吸器系疾患7.2%、悪性新生物6.4%,精神疾患5.8%、神経系疾患5.4%、腎臓尿路系疾患5.4%であった。 (2)要介護度の変化 要支援から要介護5までの全体では、改善が16.5%、維持59.1%、悪化21.1%、死亡4.2%であった。改善では要介護2から4までの者の割合が多く、維持では要支援と要介護1の割合が多い傾向がみられた。死亡は要介護度が重度であるほど多い傾向がみられた。改善者には、男性、自宅以外(主に医療機関)で新規認定を受けた者、医療処置を受けていない者の割合が多い傾向がみられた。 (3)要介護原因疾患が要介護度の変化に及ぼす影響 (1)死亡者を悪化に含め全体で分析した場合 性、年齢、要介護度、認定場所、医療処置を調整した維持に対する改善の要因は認知症がないことであり、維持に対する悪化の要因は悪性新生物あり、呼吸器系疾患あり、神経系疾患あり、心疾患ありであった。 (2)死亡者を除き要支援から要介護3までの者を分析した場合 性、年齢、要介護度を調整した維持に対する改善の要因は認知症がないこと、内分泌系疾患あり、骨折ありであった。維持に対する悪化の要因は心疾患ありであった。 (4)介護サービス利用が要介護度の変化に及ぼす影響 新規および更新認定を自宅で受けた要支援から要介護3までの1,400名を分析した結果、維持に対する改善の要因は、要介護3の訪問介護の利用、要介護1の通所系非利用であった。
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