研究概要 |
NIPPONDATA90の男性データを使用して,喫煙経験別(非喫煙,喫煙経験あり)に生活活動動作(Activity of Daily Living:以下ADL)自立割合を算定,それらに基づいた障害なし平均余命(Disability FreeLife Expectancy:以下DFLE)を算出した。DFLEは,第20回完全生命表(2005年)を用いサリバン法により算定し,喫煙経験別のADL自立割合はNIPPONDATA90のデータから算定した。調査開始時の喫煙状況のデータから,喫煙経験のカテゴリを喫煙経験なし(非喫煙),あり(現在喫煙+禁煙)の2つとした。ADLはNIPPONDATA90開始10年後(2000年)に60歳以上の調査結果を使用した。ADL自立は調査5項目すべて自立とし,少なくとも1項目で半介助、全介助はADL非自立とした。対象者男性のうち喫煙歴の記載のない人,2000年以前に死亡した人,2000年ADL調査に参加しなかった人を除外した1,554人を対象とした。年齢階級別のADL低下割合は非喫煙,喫煙経験ありともに年齢が上昇するに従い増加し,90歳ではADL低下割合は非喫煙50.0%,喫煙経験あり42.9%となった。65歳のDFLEは非喫煙17.8歳,喫煙経験者17.6歳であり,同歳平均余命に占めるDFLEの割合は非喫煙98.5%,喫煙経験あり97.1%であった。年齢が上昇するに従い平均余命に占めるDFLEの割合が減少し,90歳では非喫煙50.0%,喫煙経験あり57。1%であった。喫煙経験別にみたDFLEの値は85歳以降では若干異なるものの,総じて非喫煙の方が喫煙経験ありより大きい傾向が見られた。本結果のDFLEの差異が喫煙だけによると断定できないものの,種々の曝露要因で喫煙の健康影響が大きいことは周知であり,本結果はそのインパクトを示したといえる。
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