研究概要 |
50-74歳地域住民993人(平均年齢62歳)を対象として、健診時に併せて(1)うつ症状、自覚的ストレスの有無等に関する質問紙調査、(2)家庭血圧の測定、(3)携帯型測定装置による家庭心拍の測定を実施した。その後、うつ症状等の心理的指標と家庭で自己測定した家庭血圧、心拍数との関連を検討した。うつの得点により3群に分けて性別、年齢、降圧剤の有無、肥満度、飲酒量を調整した上で、家庭血圧、心拍数との関連を検討した結果、うつ症状が強い群ほど起床時の最大・最小血圧値、および心拍数が有意ではないが高い傾向がみられた。次に、自覚的ストレス、うつ症状、怒り、疲労、ライフイベント等に関する質問紙調査を行うとともに、生活習慣調査(飲酒、喫煙、身体活動、睡眠等)、身体測定、血液検査等を実施した。炎症因子である高感度CRP(hsCRP)の測定を行った男女14,288人(男性8,575人、女性5,713人、平均49歳)を対象として心理的因子とhsCRPとの関連を分析した結果、男女ともに寝つきが悪い・眠れないことが年齢調整後のhsCRP高値と関連した。男性では、経済的に困難な状況が、女性では、怒りをよく表出することがhsCRP高値と関連した。それぞれの多変量調整オッズ比は1.33(95%信頼区間:1.07-1.65)、2.34(同:1.23-4.43)であった。さらに、メタボリックシンドロームと心理的因子との関連を検討した結果、疲労がメタボリックシンドロームに関連することが明らかになった。男女ともに、疲労は身体活動量の低下、睡眠時間の短縮、うつ症状、喫煙、血糖異常、および脂質異常と関連した。メタボリックシンドロームに関して、疲労がない者に比べて疲労がある者の性・年齢調整オッズ比は1.71(95%信頼区間,1.40,2.08)であった。これらの関連は男女ともにみられ、また肥満度を調整変数に加えても同様に認められた。
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