18-60歳の中国人671人、モンゴル人256人、日本人671人を国際糖尿病連盟のメタボリックシンドローム(MS)診断基準を用いて調査した。内臓肥満では中国人では男39%、女24%、モンゴル人では男50%、女54%、日本人では男10%、女12%であり、モンゴル人が最も肥満で、ついで中国人、日本人の順であった。性差が中国人で顕著であり、男は日本人より肥満傾向であるが、女は日本人と同じくらいで肥満が少なかった。日本人は、モンゴル人や中国人よりもLDL-Cなどの代謝異常が有意に多かった。MSの有病率は、中国人では男23%、女9%であり、モンゴル人では男22%、女24%、日本人では男7%、女6%と少なかった。これは日本人で内臓肥満が少ないためであった。動脈硬化性疾患死亡率は、モンゴル人、中国人、日本人の順であり、今回の調査でのMSや肥満の有病率とよく相関していた。しかし、中国では男に肥満やMSが多いのに対し、女では少なく、生活習慣が関係していると考えられた。北東アジア地域でのMSの国際比較により、これらの地域でMS有病率が高く、MSを構成する代謝異常の集積が増加していることが明らかになった。しかし、同じ診断基準を用いても内臓肥満と代謝異常との関係は各国で異なっており、生活習慣または遺伝がこれらの差異にどのように関連しているかの検討が予防対策の樹立に重要と考えられる。
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