研究課題
感染症流行を抑制するためにはさまざなま疾病対策が実施されるが、疾病対策の対象は地域社会・住民であるため、失敗は許されない。また地域社会を巻き込んだ試行錯誤には厖大なコストが必要となる。過去の経験に頼る対策の試行や、生物医学的根拠に基づく対策の立案が現実的に思えるが、社会環境要因などが複雑に絡み合うため、それらの感染症流行対策の効果はどの程度であるのかは不明である。さらに、生物テロなど流行経験のない新興感染症の場合は、過去の経験に頼ることができない。そのため、感染症の流行に対して、どのような対策が有効であるのかを明らかにすることは社会的急務である。本研究の最終目標は、感染症対策の効果をシミュレーションにより判定するための汎用的なシミュレータの開発であり、そのシミュレーションの設定条件やアルゴリズムに科学的根拠を与える基礎研究として、領域可変単位問題の影響を評価し、空間集計手法における検討を行った。さらに、感染拡大モデルの試行的検討を行った。ヒト-ヒト感染の伝播様式を持つ感染症に対して、ネットワークモデルに基づくマルチエージェントを構成するために、ネットワーク分析モデルの案を試みた。シミュレーションで用いる人口の属性及び位置情報データ、交通データを整備した。シミュレータの完全性は低く、継続してシステム構築を行う必要であるが、完成後は、感染症対策に大きく貢献する知見が得られると見込まれる。
すべて 2008
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Journal of International Health 23
ページ: 109-109
Tropical Medicine and Health 36
ページ: 11-11