前年に引き続き「自殺防止実行委員会」主導の沖縄県内における種々の対策活動を行ってきた。その中心になったのは平成20年9/1〜9/30の1ヶ月間かけて行われた県の「平成20年度沖縄県自殺防止キャンペーン」期間中の各種活動である。キャンペーン期間中の相談事業には県内8機関が参加し、605人から相談が寄せられた。 9/10〜9/15の「多重債務・こころの健康相談」には「多重債務」80件、「こころの健康相談」22件の相談があった。その内容はギャンブル依存症やアディクションというよりは生活苦から多重債務→うつというケースが多かった。具体的には「夫の負債→生活苦→妻の借金→さらなる生活苦→別の業者からの借金→とり立てによる追い込まれ→ストレス→うつ」等といった負のスパイラルが起きていた。このような多問題ケースの負のスパイラルに対しては多職種(司法書士・弁護士・ケースワーカー・臨床心理士・心のケアナースなど)のチームによる強力な介入の必要が痛感された。研究代表者名嘉をコーディネーターとする県の自殺防止対策シンポジウムは那覇市と宮古島市でそれぞれ行われ、多くの県民が参加した。 平成20年度現在これら活動は徐々に効を奏しつつあるとみられ、昨年秋から始まったアメリカ発未曾有の大不況下にも関わらず沖縄県の自殺者は平成18年度の400人から平成19年度347人、平成20年度333人と減少してきていることが確認されている。
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