研究課題/領域番号 |
19590646
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
中村 禎子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (60382438)
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研究分担者 |
奥 恒行 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (50010096)
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キーワード | 難消化性糖質 / 腸内細菌叢 / 下痢 / 短鎖脂肪酸 / 下痢抑制効果 / オリゴ糖 / 糖アルコール / 炎症細胞数 |
研究概要 |
下痢症は、開発途上国の小児、消化管機能の低下した高齢者、ならびに術後患者に経管栄養療法などを実施した場合にしばしば観察される。また、難消化性甘味糖質を大量に含有するいわゆる健康食品の過剰摂取では高浸透圧性下痢が発症する。我々は、難消化性オリゴ糖をバングラデシュスラム街の小児に継続摂取させることにより下痢発症が抑制されること、また健常なヒトにおいて難消化性甘味糖質の大量摂取により誘発される高浸透圧性下痢が食物繊維同時摂取によって抑制されることを既に報告している。本研究では、オリゴ糖や食物繊維摂取による下痢抑制機序を明らかにすることを目的として、ラットへ難消化性オリゴ糖を継続摂取させ、腸内細菌叢ならびに消化管組織における変化を経時的に観察し、これらの相互関連性について検討した。 その結果、ラットへ難消化性オリゴ糖または糖アルコールを継続的に経口摂取させると、摂取1-2目後にはコントロール群に比べて腸内細菌数が有意に増加し、この変化は高浸透圧性下痢誘発期間を通して継続した。下痢修復時には腸内細菌数はコントロール群と同程度となった。下痢誘発から下痢修復後までの腸内細菌叢の変化を、下痢誘発期、下痢修復期(修復した直後)、下痢修復後期(下痢修復2週間後)の3ステージに分け、盲腸内容物から腸内細菌DNAを抽出してTerminal Restriction Fragment Length Polymorphism (T-RFLP)解析を行った結果、それぞれのステージ別に特徴的な腸内細菌叢が観察された。また、難消化性オリゴ糖摂取群の消化管組織像はコントロール群のそれと異なることが観察された。以上の結果、難消化性糖質継続摂取による下痢抑制および下痢修復には、腸内細菌数と細菌叢の経時的変化、ならびに消化管の組織的変化が関与していることが明らかになった。
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