研究概要 |
栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAPの副研究として日本人と日系ハワイ人のランダムサンプルを対象として1997-98年に実施されたINTERLIPID研究の既存データからメタボリックシンドロームの有病率を算出し、さらに凍結保存血清を用いて新たにアディポネクチンを測定した。年齢には差がない日本住民259人(男130人、女129人)、ハワイ在住日系米人267人(男136人、女131人)を対象とした結果、平均BMIは男女とも日系米人で高く(男:23.4vs28.1kg/m^2,P<0.01;女:23.4vs25.9kg/m^2,P<0.01)、同一診断基準を用いたメタボリックシンドロームの有病率も男女とも日系米人で高かった(男:3.9vs23.2%,P<0.01;女:2.3vs9.7%,P<0.05)。また血清アディポネチン濃度は男女とも日系米人で低かった(男:8.lvs6.7μg/ml,P<0.01;女:12.9vs9.3μg/ml,P<0.01)。この差異の原因を検討するため男女を合わせたデータを用い多変量回帰分析を用いて解析した。Body mass index(BMI)や運動量に両地域で有意な差があったが、これらのみで両地域の差を説明できなかった。両地域における摂取栄養素の差の内、タンパク質とn-3多価不飽和脂肪酸を解析モデルに代入すると両地域差が消失した。遺伝的に同一と想定される両地域住民の血中アディポネクチン濃度の差は生活習慣、特に食習慣の差によって説明できた。この成果は米国心臓病学会疫学部門で報告し、論文は米国臨床栄養学雑誌に掲載された。
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