研究概要 |
肥満は心血管疾患発症と死亡を増加させる。その少なくとも一部に肥満による血圧上昇が関与している。動物実験ではレプチンと血圧の関連は明確に示されているが、ヒトでの検討では結果に不整合がある。今回、遺伝因子は等しいが生活習慣の違いにより肥満度が大いに異なる(BMI : 17~47kg/m^2)日本在住日本人とハワイ在住日系米人計416人を対象として肥満、血清レプチンと血圧の関連について検討した。 血清レプチン濃度別に4群に分けると、男女、日米どの4群内でも血清レプチン濃度が高くなるとBMI、収縮期血圧、拡張期血圧は増えた。平均年齢には変わりがなかった。性別調整の部分相関解析を行うとBMI、対数変換レプチン濃度、収縮期血圧、拡張期血圧のそれぞれの間で有意な関係があった。重回帰分析を用いて収縮期血圧および拡張期血圧に及ぼすBMI、対数変換レプチン濃度とその他の交絡因子の影響を検討すると、BMI、対数変換レプチン濃度共に収縮期血圧および拡張期血圧に対して独立に影響を与えることが判明した。 レプチンは肥満により誘導される血圧上昇の重要な一介在因子であると想定される。さらに肥満にはレプチンを介する以外の血圧上昇作用があることが判明した。 上記結果はアメリカ心臓病学会誌Hypertension誌に投稿し、受理され出版された。。Nakamura Y, et al.Relation of Serum Leptin to Blood Pressure of Japanese in Japan and Japanese-Americans in Hawaii : The INTERLIPID Study. Hypertension 2009 Dec ; 54 (6) : 1416-22.
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