研究課題/領域番号 |
19590664
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
清水 惠子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90312462)
|
研究分担者 |
松原 和夫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20127533)
浅利 優 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40360979)
|
キーワード | デートレイプドラッグ / 健忘 / 医薬品不正利用 / 犯罪防止 / 行動薬理 |
研究概要 |
高架式十宇迷路試験(Elavated plus-maze test)は、動物が本能的に持つ検索動因による接近行動(好奇心)と不安及び恐怖が動因となる回避行動の二つが、平衡状態にある、接近-回避型コンフリクトモデルと言われている。この度購入した実験装置は、壁のないオープンアームと、壁に囲まれたエンクローズドアームが十字型に交叉し、それらのアームは床からの高さ50cmに設定されている。本試験での行動評価は、主にオープンアームへの滞在時間、進入回数の増減が指標とされている。マウスにとって、壁がなく絶壁である開放状態は、恐怖を誘因すると考えられている。従って、正常な状態では、マウスのオープンアームへの滞在時間は、エンクローズドアームへの滞在時間よりも短くなる。しかし、抗不安作用のある化合物をマウスに投与すると、その傾向は崩れ、両アームへの滞在時間に有意差がなくなる。本装置を利用して、デートレイプドラッグ投与後の不安が除去された状態、つまり、普段よりも大胆な気分になった状態を、マウスを用いて人間的恣意(作為)の入る余地のない状態で客観評価した。犯罪にしばしば使用されるベンゾジアゼピン系薬物及びアルコール投与後のマウスの行動は、両アームでの滞在時間に有意差が認められず、抗不安状態発現を客観的に示すものであった。このことは、犯罪におきかえると薬物が投与された状態での被害者が、通常の状態(薬物未投与の状態)よりも、犯罪に対して脆弱となる状況である亊を示唆した。
|