研究概要 |
これまで,頭部外傷や新生児などの剖検例では脳が非常に脆弱であり,脳の法医解剖学的検査は,脳の摘出から固定までの間の人為的操作によって,重要な所見の「喪失」や「人工産物の発生」を招く場合が多かった.解剖時に脳を従来よりも格段丁寧に摘出し,それを浮遊状態で固定できれば,これらの弊害は減るはずだが,これに挑んだ研究は極めて少ない.本研究の目的は,(1)脳の丁寧な摘出が可能となるよう水中摘出法による剖検用バケットを開発すること,(2)氷酢酸添加法による比重調整を応用した脳浮遊固定装置を開発すること,(3)これら(1),(2)の新手法が種々の脳組織染色法(免疫染色法を含む)に与える影響を詳しく考察すること,の3点である.
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