研究概要 |
1) H19年度に引き続き43種類のベンゾジアゼピン系薬物の精密質量データベースの検討を行った.救命救急センター入室のベンゾジアゼピン系薬物が関与していると思われた中毒症例の分析に適用し, Molecular Feature Extraction法を用いて,複数のベンゾジアゼピン系薬物を効率よく分離・定量できた.しかしながら,代謝物の水酸化体を互いに識別することは困難であったので,タンデム質量分析LC-MS-MSによる識別と定量について検討した.トリアゾラムとエチゾラムのprecursor ionはいずれもm/z343,トリアゾラム1位水酸化体,4位水酸化体,エチゾラム1位水酸化体,8位水酸化体のprecursorionはいずれもm/z359であるが, product ionはm/z308[M-35],314[M-29,176[M-183],286[M-72],273[M-85],315[M-44]で帰属を明確にすることが可能だった. これらのionを用いてMRM定量を行ったところ1-1000ng/mlの範囲で直線性,回収率,再現性ともに良好であった.エチゾラム及びトリアゾラムの常用量を服用している精神科外来患者尿を用いて定量試験を行ったところLC-MS-MSでは未変化体や代謝物の識別が可能で,類似構造を有する同重体や代謝物の多いベンゾジアゼピン系薬物の高感度定量に有用であった. 2) GC/MS用相対定量・迅速多成分一斉分析ソフトウェア(NAGINATA)を用いたベンゾジアゼピンスクリーニングを検討した. calibration rockingdatabaseを用いたNAGINATAスクリーニングでは10-5000ng/mlの範囲で直線性,回収率,再現性ともに良好であった.
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