研究概要 |
1.動物モデル:自発呼吸下のラットを麻酔し,大気圧で二酸化炭素(CO_2),酸素(O_2),窒素(N_2)の混合ガスを吸入させた。 2.致死時間:酸素を大気と同じ21%にすると,30%CO_2で8時間12分,40%CO_2で3時間51分であった。低酸素12.6%O_2にすると,0%CO_2で20時間以上,40%CO_2で3時間8分であった。 3.血圧心拍数:対照群(0%CO_2/21%O_2),二酸化炭素群(40%CO_2/21%O_2),低酸素群(0%CO_2/12.6%O_2),低酸素二酸化炭素群(40%CO_2/12.6%O_2)に分け,3時間後まで観察した。対照群では著明な変動はなく,低酸素群では血圧および心拍数は暴露開始後に一過性に減少した。二酸化炭素群および低酸素二酸化炭素群では,吸入10分以内に血圧は最大に心拍数は最小になり,以後徐々に回復した。 4.RT/PCR法によるmRNA:1時間後の脳および心筋でのVEGF,NOS,TNF-a,IL-1B,BO2,BO4はいずれの群問にも著明な差は認められなかった。なお,心筋のBO2,BO4の検査は行わなかった。 5.血清成分:1時間後および3時間後のクレアチニン,IDH-3,CPK-MBを測定した。いずれも二酸化炭素群では対照群よりも高値であった。低酸素群および低酸素二酸化炭素群も同様であった。 6.病理組織:3時間後の二酸化炭素群と低酸素二酸化炭素群の海馬と大脳辺縁系のCA1錐体細胞に核の濃縮,細胞質の減少等の凝固壊死が観察された。他の2群の脳および全4群の心臓肺,肝臓,腎臓には著変は認められなかった。免疫組織学的に心筋のCaspase-3を染色しアポトーシスの発現を検討したが,各群に差は認められなかった。
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