研究課題/領域番号 |
19590691
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石黒 和博 名古屋大学, 医学部, 寄附講座准教授 (60432275)
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研究分担者 |
安藤 貴文 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378041)
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
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キーワード | マクロファージ / 炎症 / 生薬 / lipopolyscharide / サイトカイン / ミトコンドリア |
研究概要 |
マクロファージを標的とした炎症疾患に対する治療方法を開発するためlipopolysaccharide(LPS)で活性化したマクロファージ由来Raw細胞のviabilityを特異的に低下させる化合物を主に生薬の成分からスクリーニングを行った。その結果、dehydrocorydalineとpraeruptorin Aの二つが現在までに同定されている。前者の効果の方がより顕著であるため前者の研究を優先的に行っている。 これまでのところ下記の所見を得た。 1)dehydrocorydalineはLPS刺激に伴うミトコンドリア膜電位の増大を抑制し細胞内のATP量を減少させる結果、細胞死を誘導する。但し、ミトコンドリアからCytochrome cの細胞質への流出がないところからミトコンドリアの機能を阻害していると考えている。 2)アポトーシスを示すcaspase-3の活性化やgenome DNAの断片化が観察されないためATP枯渇による細胞壊死が生じていると考えられる。 3)LPSによるサイトカインの産生もdehydrocorydalineにより抑制される。このため細胞壊死に伴い周囲にサイトカインが放出される可能性は極めて少ないと考えられる。 4)マウス由来の腹腔マクロファージにおいても同様な所見が観察された。 今後はDehydrocorydalineを用いた治療の有用性を検討するためマクロファージの異常な活性化が原因とされる腸炎モデル、IL-10欠損マウスを用いる予定である。現在、実験を行うために必要な個体数を得るため動物実験施設で繁殖中である。活性化したマクロファージを減少させること、およびそのサイトカイン産生を抑制することで腸炎の改善が期待される。
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