研究課題
1型糖尿病の女性患者における、1型糖尿病の発症年齢と摂食障害の合併との関連についての研究を行った。摂食障害を合併した1型糖尿病女性と、摂食障害を合併していない1型糖尿病女性の、1型糖尿病の発症年齢を比較した。その結果、摂食障害を合併した1型糖尿病女性患者の、1型糖尿病の発症年齢の分布に特徴を見いだした。この結果に基づき、論文を仕上げ、現在英文雑誌に投稿中である。1型糖尿病への摂食障害の合併は、食行動異常(過食など)やインスリン注射の省略(インスリン注射の省略や減量によって、故意に代謝状態を悪化させ、体重減少を導く)などの行為が常習となることから、血糖コントロールの著しい悪化を招き、糖尿病合併症の早期の出現・進展を招き、医学的に大変大きな問題である。しかし、その治療は大変難しく、摂食障害の遷延化により、糖尿病の経過は悲惨なものとなりがちである。摂食障害をすでに併発した患者への治療法の改良・普及が重要なのは勿論であるが、それ以上に、摂食障害の予防が図られるべきである。1型糖尿病発症後の早期に、糖尿病や摂食障害についての心理教育的な対応を行い、患者が摂食障害に向かわないようにすることが重要である。しかし、1型糖尿病を発症したすべての女性患者に対して心理教育的対応を行うとなると、その時間的・経済的負担は大変大きいものとなる。その際、将来摂食障害を併発する危険因子が明確になれば、危険因子を持つ患者に特に焦点を合わせることができる。今回明らかになった結果は、これまで発表されたことのないものである。1型糖尿病の発症年齢という客観的な因子でもあり、予防的な心理教育を行う対象を絞ったり、心理教育の内容を決める上で、明確で重要な指針となると思われる。
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治療 91(1)
ページ: 88-92