研究課題
薬剤耐性H. pyloriに有効な新しい補完・代替療法として可能性が考えられる漢方薬(生薬)の抗菌作用の機構解明のため、薬剤耐性H. pylori菌株に対する直接作用と生体の免疫系を介する間接作用に分け、その抗菌作用を解析した結果、漢方薬としては補中益気湯、生薬としては大黄、黄連、茵陳蒿、丁子、甘草に強い抗菌効果が認められた。また、生薬の長期投与により、新たな耐性菌は出現しなかった。一方、間接作用を検討するため、補中益気湯をマウスへ経口投与し胃粘膜に発現しているサイトカインをRT-PCR法により測定した結果、γ型インターフェロン(IFN-γ)やインターロイキン17(IL-17)などの炎症性サイトカイン発現の抑制が認められた。一方、H. pylori感染における病態形成機序については、IL-18とIL-17の関与について検討した。H. pylori感染症におけるIL-18の役割を明らかにするため、H. pylori感染胃炎患者、胃潰瘍患者、胃がん患者の胃粘膜組織中のIL-18の発現をRT-PCR法ならびにELISA法により測定し粘膜の組織学的変化と比較検討するとともに、IL-18遺伝子プロモーター部位の遺伝子多型を検討した結果、H. pylori感染胃炎患者の胃粘膜においてIL-18の発現増強が認められ、その発現レベルはIFN-γ発現レベルと相関していた。また、IL18-607C/Cおよび-137G/G型を示す患者において有意なIL-18の発現増強と強い炎症が認められ、IL-18遺伝子型が治療の予後を予想できる因子である可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
J Biol Chem. 282
ページ: 6242-6254