研究課題/領域番号 |
19590697
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
扇谷 えり子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80300820)
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研究分担者 |
今西 二郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (40112510)
喜多 正和 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (60153087)
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キーワード | インフルエンザウイルス / 漢方薬 / 抗ウイルス薬 |
研究概要 |
昨年度までの実験で、老化促進モデルマウスSAM P1に十全大補湯(以下十全)を投与すると、インフルエンザウイルスPR8株感染における生存率が有意に上昇すること、肺組織中のウイルス量は、十全投与群と非投与群で差異がなく、感染8日後からマウスは死んでいくにもかかわらず、感染2日後にピークを迎え、3日後には低下してしまうことが判明した。マウスの死因について検討したところ、肺から多数の細菌が分離されたこと、肺組織の観察で、細菌が散見されたことから、細菌の混合、2次感染によるものではないかと考えられた。また、3日後に肺中のウイルス量が低下する現象は、本実験で用いたPR8株とSAMP1マウスの組み合わせの系に特異的なものであった。十全、補中益気湯(以下補中)とタミフル(感染後4時間から5日間投与)の併用投与におけるPR8株感染実験では、感染2日後の肺中のウイルス量、感染8日後までの体重変化は、いずれの群も差異はなかった。しかし感染5日後、8日後のウイルス量は、十全、補中投与群では、ウイルス低下量を維持あるいはさらなる減少が認められたが、漢方薬非投与群は一旦低下したウイルス量がやや増加する傾向が見られた。通常PR8株感染マウスは感染8日後には体重が80%前後に減少するが、本実験でのタミフル投与マウスは90%前後の減少に抑えられた。このことから、本実験に用いたPR8株においてはタミフルの抗ウイルス効果が比較的低いものの、タミフルを投与した場合の肺中ウイルス量低下は、タミフルの抗ウイルス効果によるものだと考えられる。以上のことから、PR8株感染SAMP1マウスにおいて次の結果が得られた。1、十全投与は、生存率を有意に増加させる。2、タミフルとの併用投与では、十全および補中投与によって肺中のウイルス量を漢方非投与時に比べてさらに抑制する効果を得られる事が示唆された。
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